歴代メタルギアソリッドシリーズの舞台設定となった年表順に歴史的背景を見つつ、ゲームとしての特長もまとめていきます。全体像を見やすくするためエピソードはなるべく簡潔にしています。
※【】内は作品の舞台となった年
【1964年】メタルギアソリッド3(スネーク・イーター)
舞台は1964年の旧ソ連。
コードネーム、ネイキッド・スネークと呼ばれた男はパキスタン上空からソビエト連邦の領地へ降り立った。
ネイキッド・スネークの任務はソ連領内へ単独潜入し、かつてアメリカに亡命していたソ連の兵器開発者ソコロフを奪還すること。
これこそ、「ゼロ少佐」率いる特殊部隊FOXが立案した『貞淑なる作戦(バーチャスミッション)』である。
しかし、ソコロフの秘密設計局は核爆発に巻き込まれ、バーチャスミッションは失敗に終わる。
ゼロ少佐は汚名を晴らすべく、特殊部隊FOXの存続をかけた最後の作戦『スネークイーター作戦』を立案。
その目的はソ連に核攻撃を仕掛けた、アメリカの裏切り者ザ・ボスの抹殺、ソコロフの奪還、ソコロフの開発した新兵器の破壊。失敗すれば、ソ連とアメリカの全面核戦争が勃発するかもしれない。
ネイキッド・スネークは自らの師を殺すという、過酷で残酷な任務を引き受けることとなる。
<主人公>ネイキッド・スネーク
後に「ビッグボス」の称号を与えられる男、ネイキッド・スネークの物語。
『メタルギア』シリーズの原点となる「ビッグボス」誕生のエピソードが紐解かれるほか、「愛国者達」の真相を掴むうえでも重要なストーリーとなっている。
メタルギアソリッド1、2、4ではソリッド・スネークやリキッド・スネークにとって絶対的な存在とされていたビッグボスだが、彼にもまた「師」と仰ぐ存在(ザ・ボス)がおり、作品序盤では手も足も出ない姿が印象的。
またストーリーを進めていく中での人間的な葛藤、感情の変化も押さえておきたい。
2004年発売(PlayStation2)
『メタルギア』シリーズ正史の発売順としては5作目となる作品。
2004年12月16日にPlayStation2用ソフトとして発売開始。
その後も2005年12月22日に完全版とされる「SUBSISTENCE」が、2007年7月26日には『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY』として発売。
2011年11月23日にはPlayStation3用ソフトとして『METAL GEAR SOLID HD EDITION』内に収録。
2012年3月8日にはNintendo3DS用ソフトとして『METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D』も発売されている。
サバイバルアクション
前作メタルギアソリッド2に続いて主観視点での操作が可能なほか、作品の舞台となるジャングルでのサバイバル要素が追加。食糧の確保(フードキャプチャー)やステージごとに異なる大自然と一体化するためのカムフラージュによるステルスアクションが追加された。
【1974年】メタルギアソリッド(ピースウォーカー)
「スネーク・イーター作戦」から10年後。
ザ・ボスを失ったスネークは南米コロンビアで私設軍隊を設立し、その指導者となっていた。
メタルギアを手に入れる「ピースウォーカー計画」が描かれた作品であり、世界で最初のメタルギア「メタルギアZEKE」が初登場する。
CIAとKGBの対立、そして核発射直前のピースウォーカー。
絶体絶命の中、スネーク達の存亡を賭けた戦いが始まる。
<主人公>ビッグ・ボス
「スネーク・イーター作戦」でザ・ボスを抹殺し、世界を核戦争の危機から救った英雄として米国政府から「ビッグボス(BIG BOSS)」の称号を授与された。
2010年発売(PSP)
『メタルギア』シリーズ正史の発売順としては7作目となる作品。
2010年4月29日にPSP(PlayStation Portable)用ソフトとして発売開始。
その後2011年11月20日にPlayStation3用ソフトとして『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER HD EDITION』が発売。
オペレーション要素の追加
従来通りの潜入ミッションや前作メタルギアソリッド3のサバイバルアクションに加え、「マザーベース」を運営・拡大していくオペレーション要素も追加された。
【1975年】メタルギアソリッドV(グラウンド・ゼロズ)
ピースウォーカー事件から4ヶ月後の1975年3月16日。
ビッグ・ボスが率いる「国境なき軍隊 (MSF)」の兵力は、核を保有するほど強大になっていた。
かつてスネークと戦い、生死不明となっていた女性工作員「パス」が生きており、キューバ南端に設けられた米軍基地内で尋問を受けていた。スネークの部隊に身を寄せていた、パスに想いを寄せる少年チコはパスの窮地を知り、無謀にも単独で彼女の救出に向かってしまう。
スネークはパスとチコを救出するためキューバへと向かった。
<主人公>スネーク
ピースウォーカー事件の後、一大兵力を築き上げていくスネーク(ビッグ・ボス)が描かれた作品。
2014年発売(PlayStation3・4)
2014年3月20日にPlayStation3・4用のいずれも発売開始。
2014年12月18日にはPC版も発売された。
リアリティの追及と独自のルート
本作の最大の特長と言えるのが映像のリアリティさ。
ゲームとは思えない、まるで実写化したような映像で楽しめる体験は格別。
更に従来の作品では進むべきルートが決まっていたが、本作からは独自のルートで物語を進められるようになった。
【1984年】メタルギアソリッドV(ファントムペイン)
グラウンド・ゼロズの続編。
1984年、隻眼に義手の男、スネークは昏睡から目を覚ます。
ソ連軍に囚われた、かつての相棒カズヒラ・ミラーを救うため単独で潜入する。彼を救出することで伝説の復活を世界へ示すべく、世界を股に掛けた戦いが始まる。
<主人公>スネーク
グラウンド・ゼロズの9年後が描かれた作品。
2015年発売(PlayStation3・4)
2015年9月2日にPlayStation3・4用のいずれも発売開始。
最新作にして完結編
『メタルギア』シリーズ正史の発売順として最新作であり完結編とも言える作品。
映像のリアリティや壮大なスケール感のゲーミング要素もグラウンド・ゼロズと同様の超大作。
【1995年】メタルギア
1980年代後半、英雄かつ狂人とうたわれたひとりの傭兵によって作られた武装要塞国OUTER HEAVEN(アウターヘブン)。
そのOUTER HEAVENでおそるべき殺戮兵器が開発されているという情報を入手。軍部は特殊部隊FOX HOUNDに出動を命令。コードネーム:グレイ・フォックスを潜入させるが消息を絶つ。
事態を重く見た上層部はFOX HOUNDに再び出動を命令、新人の隊員ソリッド・スネークにすべてを託した。司令官ビッグボスの指揮のもと、スネークは無線機だけを片手に単身OUTER HEAVENに潜入。
グレイ・フォックスを救出すると共に、核搭載重歩行戦車メタルギアの存在を知り、破壊を目指す。
<主人公>ソリッド・スネーク
後に「伝説の傭兵」と呼ばれるソリッド・スネークが初登場。
特殊部隊FOX HOUNDの新人隊員だった頃が描かれた作品
1987年発売(MSX2)
『メタルギア』シリーズ正史の記念すべき1作目。
1987年7月13日にMSX2用ソフトとして発売。
後に2007年7月26日発売のPlayStation2用ソフト『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY METAL GEAR SOLID COLLECTION』、2011年11月23日に発売のPlayStation3用ソフト『METAL GEAR SOLID HD EDITION(MGS3内収録「MSX2復刻版」』に収録されている。
ステルス要素を取り入れた最初のビデオゲーム
MSX2というパソコン向けのゲームとして開発された本作。
当時のスペックでは多くの敵や銃弾の表示が難しく、制約が多かった。しかしその制約を逆手に取り「敵と戦わずして逃げる」というルールを立案。敵兵が一度にたくさん表示されなくても戦争の緊張感を表現できる、という発想から敵基地へ潜入するゲーム『メタルギア』が生まれた。
まさに2000年代まで通ずるメタルギアの代名詞「スニーキングミッション」の原点と言える作品。
【1999年】メタルギア2(ソリッド・スネーク)
前作『メタルギア』の続編。
特殊部隊FOX HOUNDを離れたソリッド・スネークが宿敵となったビッグボスと決着をつける作品。
のちに「ザンジバーランド騒乱」と呼ばれる事件が描かれている。
<主人公>ソリッド・スネーク
前作同様にソリッド・スネークが主人公。
自らの親でもあるビッグボスを倒すこと、そしてグレイ・フォックスをも手にかける壮大なストーリー。
1990年発売(MSX2)
『メタルギア』シリーズ正史の発売順としては2作目となる作品。
1990年7月20日にMSX2用ソフトとして発売。
後に前作『メタルギア』と同様、2007年7月26日発売のPlayStation2用ソフト『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY METAL GEAR SOLID COLLECTION』、2011年11月23日に発売のPlayStation3用ソフト『METAL GEAR SOLID HD EDITION(MGS3内収録「MSX2復刻版」』に収録されている。
逃げるだけでなく引きつける
前作から更なる追加要素として、敵兵がスネークの足音を感知したり、スネークが壁をノックすることで敵兵を引きつけるといった「聴覚」が加わった。
【2005年】メタルギアソリッド
「ザンジバーランド騒乱」の後、アラスカで隠遁生活をおくるソリッド・スネークが「ビッグボスの遺体」をめぐって戦場へ復帰する。のちに「シャドーモセス島事件」と呼ばれる潜入作戦(スニーキングミッション)が描かれた作品。
同じ遺伝子から生まれた兄弟リキッド・スネークが登場する。
<主人公>ソリッド・スネーク
本作ではソリッド・スネークと共に兄弟として誕生したリキッド・スネークが登場。彼らの誕生に隠された秘密とビッグボスの関係、そしてビッグボスが果たせなかった野望の実行を果たそうとするリキッド・スネークとの対決が描かれている。
1998年発売(PlayStation)
『メタルギア』シリーズ正史の発売順としては3作目となる作品。
1998年9月3日にPlayStation用ソフトとして発売開始。
その後1999年6月24日に『METAL GEAR SOLID INTEGRAL』が発売。2004年3月11日はNINTENDO GAMECUBE用ソフトとして3D映像化された『METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES』が発売。
2007年7月26日にPlayStation用ソフトとして『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY METAL GEAR SOLID』に収録、2008年3月21日にPlayStation3用ソフトとして『METAL GEAR SOLID GAME ARCHIVES』に収録されている。
20世紀最高のシナリオと技術革新
PlayStationの登場によって3Dコンピュータグラフィックスが可能となったことをきっかけに開発された本作。
より大きな容量を処理できるCD-ROMによって実写映像やMIDIによるサウンド機能が利用できるようになったことで表現の幅は飛躍的に進歩した。
こうしたPlayStationの技術を惜しみなく採用した本作はゲーム中に挿入される核兵器発射や遺伝子配合の実写映像。声優の吹き替えによる「しゃべる登場人物」。自由に切り替えられる主観視点(仰視)と客観視点(俯瞰)。更にはコントローラーが振動する機能を使ったギミック(サイコマンティスの超能力とDr.ナオミの遠隔マッサージ)まで採用。
更にストーリーも過去のメタルギア作品の続編ながら、初めてプレイする人にとっても没頭できる「やり込み」要素が盛り込まれた作品と言える。
【2007年】メタルギアソリッド2(サンズ・オブ・リバティ/タンカー編)
「シャドーモセス島事件」の後、メタルギアの根絶を目指して反メタルギア組織「フィランソロピー」のメンバーとして世界中を駆け回るソリッド・スネークとオタコン。
あるとき、新型メタルギアが海軍の手により極秘裏に輸送されるという情報をつかんだスネークはニューヨーク・ハドソン川を航行中の偽装タンカーへ潜入する。
<主人公>ソリッド・スネーク
序章として描かれた「タンカー編」の主人公として再びソリッド・スネークが登場。
前作で共にシャドーモセス島を脱出したオタコンと無線連絡を取りながらタンカー内を単独潜入(スニーキングミッション)する。
2001年発売(PlayStation2)
2001年11月29日にPlayStation2用ソフトとして発売開始。
その後2002年12月19日に『METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE』が発売。
2007年7月26日にPlayStation2用ソフトとして『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY METAL GEAR SOLID 2』、2011年11月23日に発売のPlayStation3用ソフト『METAL GEAR SOLID HD EDITION』にも発売されている。
【2009年】メタルギアソリッド2(サンズ・オブ・リバティ/プラント編)
タンカー沈没事件から2年後。
流出した大量の油を処理するため、マンハッタン沖に海洋浄水施設「ビッグ・シェル」が建設された。しかしビッグ・シェルは「サンズ・オブ・リバティ(自由の息子たち)」と名乗る武装グループによって占拠、大統領など多くの人が人質となってしまう。
政府は新生FOX HOUND部隊の出動を要請。隊員「雷電」が派遣され、大統領と人質の救助とテロリストの制圧を依頼される。
<主人公>雷電
バーチャルリアリティで訓練を積んだ隊員「雷電」が初登場。主人公として操作する。
ストーリーを進める中で露呈する未熟さ。そして自分自身の存在価値を見出していく。
リアリティ溢れるモーション
PlayStation2の登場によって人間らしいリアリティ溢れるモーションが可能となった。
その技術をまたしても惜しみなく採用した本作はシリーズ初となる「主観での攻撃」が可能となる。他にも約3,300のモデル(キャラクター)数、53,000パターンのモーション(動き)、約10,000種類の音声など膨大なデータを詰め込んだ、当時としては超大作。
やり込み要素も増え、何度も何度も繰り返しプレイした人は少なくないだろう。
【2014年】メタルギアソリッド4(ガンズ・オブ・ザ・パトリオット)
前作タンカー・プラント編から更に時は経ち、ソリッド・スネークの肉体は急激な老化がはじまっていた。余命は1年程度。それを知りつつも、スネークはリキッドを抹殺するために戦場へ向かう。
ソリッド・スネークとリキッド・スネーク、そしてオセロットやビッグボスといった『メタルギア』シリーズを沸かせた重要人物たちの最期が描かれた感動の超大作。
<主人公>オールド・スネーク
年老いたビッグボスの体細胞によって誕生したソリッド・スネークに急激な老化が表れた本作。
満身創痍のなか、死んだはずの兄弟リキッド・スネークとの本当の決着を、そして謎に包まれた「愛国者達」の全貌が明らかにすべく戦い続ける。
2008年発売(PlayStation3)
『メタルギア』シリーズ正史の発売順としては6作目となる作品。
2008年6月12日にPlayStation3用ソフトとして発売開始。
遊び方は自由
これまでのような特定の施設内・地域内に留まらない「戦場」という幅広いステージに進化した。
「メタルギア」から本作まで約20年。
プレイヤーが操れるアクションは増え、使える武器や装備は激増した。
進め方、敵の倒し方のバリエーションも増え、まさに遊び方は自由となった。
【2018年】メタルギア ライジング リベンジェンス
前作「ガンズ オブ ザ パトリオット」から4年。
高周波ブレードを装備した雷電はサイボーグの普及が進む世界を舞台に、壮快かつ繊細な「斬る」超人アクションを繰り広げる。
<主人公>雷電
サンズ・オブ・リバティの主人公にして前作「ガンズ オブ ザ パトリオット」で久々に登場した雷電が再び操作できるスピンオフ作品。
2013年発売(PlayStation3)
2013年2月21日にPlayStation3用ソフトとして発売。
スピンオフ作品のため『メタルギア』シリーズ正史には含まれない。